ISO13485とは
医療機器は、人命、健康に直接の影響を与えるため、製造業の中においても、より繊細で、高度な管理が要求されています。そのため国際品質マネジメント規格であるISO9001では足りず、医療機器独自の要求事項をまとめたISO13485が作られました。
他の国際規格同様ISO9001を参考に作られた規格ではありますが、ISO9001とは思想が異なるため、単純にISO9001+医療機器産業独自の要求事項というわけではありません。
ISO13485の特徴として、法規制の一部として利用されているということがあげられます。EU諸国や、オーストラリア、韓国においては、ISO13485認証は必須ですし、また、我が国においてもISO13485認証認証が法規制の一部として利用されています。そのため、ISO13485には50を超える文書化要求があり、文書化偏重の規格となっています。
また、多くの国際規格がハイレベルストラクチャー(HLS)に基づき、規格構造の共通化を目指す一方、2016年の改定においても、HLSを採用せず、規格構造はISO9001:2008を参考に改定されています。
0 | 序文 | 5.4.1 | 計画 | 7.5 | 製造およびサービスの提供 |
0.1 | 一般 | 5.4.1 | 品質目標 | 7.5.1 | 製造およびサービス提供の管理 |
0.2 | 概念の明確化 | 5.4.2 | 品質マネジメントシステム | 7.5.2 | 製品の清浄性 |
0.3 | プロセスアプローチ | 5.5 | 責任および権限およびコミュニケーション | 7.5.3 | 据付け活動 |
0.4 | ISOとの関係 | 5.5.1 | 責任および権限 | 7.5.4 | 付帯サービス活動 |
0.5 | 他のマネジメントシステムとの両立性 | 5.5.2 | 管理責任者 | 7.5.5 | 滅菌医療機器に対する特別要求事項 |
1 | 適用範囲 | 5.5.3 | 内部コミュニケーション | 7.5.6 | 製造およびサービス提供に関するプロセスバリデーション |
2 | 引用規格 | 5.6 | マネジメントレビュ | 7.5.7 | 滅菌および無菌バリアシステムのプロセスのバリデーションに対する特別要求事項 |
3 | 用語および定義 | 5.6.1 | 一般 | 7.5.8 | 識別 |
3.1 | 通知書 | 5.6.2 | マネジメントレビュへのインプット | 7.5.9 | トレーサビリティ |
3.2 | 指定代理人 | 5.6.3 | マネジメントレビュのアウトプット | 7.5.9.1 | 一般 |
3.3 | 臨床評価 | 6 | 資源の運営管理 | 7.5.9.2 | 埋込み医療機器に対する特別要求事項 |
3.4 | 苦情 | 6.1 | 資源の提供 | 7.5.10 | 0顧客の所有物 |
3.5 | ディストリビュータ | 6.2 | 人的資源 | 7.5.11 | 製品の保存 |
3.6 | 埋込み医療機器 | 6.3 | インフラストラクチャー | 7.6 | 監視機器および測定機器の管理 |
3.7 | 輸入業者 | 6.4 | 作業環境および汚染管理 | 8 | 測定、分析および改善 |
3.8 | ラベリング | 6.4.1 | 作業環境 | 8.1 | 一般 |
3.9 | ライフサイクル | 6.4.2 | 汚染管理 | 8.2 | 監視および測定 |
3.10 | 製造業者 | 7 | 製品実現 | 8.2.1 | フィードバック |
3.11 | 医療機器 | 7.1 | 製品実現の計画 | 8.2.2 | 苦情処理 |
3.12 | 医療機器ファミリ | 7.2 | 顧客関連のプロセス | 8.2.3 | 規制当局への報告 |
3.13 | 性能評価 | 7.2.1 | 製品に関連する要求事項の明確化 | 8.2.4 | 内部監査 |
3.14 | 市販後監視 | 7.2.2 | 製品に関連する要求事項のレビュ | 8.2.5 | プロセスの監視および測定 |
3.15 | 購買製品 | 7.2.3 | コミュニケーション | 8.2.6 | 製品の監視および測定 |
3.16 | リスク | 7.3 | 設計・開発 | 8.3 | 不適合製品の管理 |
3.17 | リスクマネジメント | 7.3.1 | 一般 | 8.3.1 | 一般 |
3.18 | 無菌バリアシステム | 7.3.2 | 設計・開発の計画 | 8.3.2 | 引き渡し前の不適合製品における処置 |
3.19 | 滅菌医療機器 | 7.3.3 | 設計・開発へのインプット | 8.3.3 | 引き渡し後に発見された不適合製品における処置 |
4 | 品質マネジメントシステム | 7.3.4 | 設計・開発からのアウトプット | 8.3.4 | 手直し |
4.1 | 一般要求事項 | 7.3.5 | 設計・開発レビュ | 8.4 | データの分析 |
4.2 | 文書化に関する要求事項 | 7.3.6 | 設計・開発の検証 | 8.5 | 改善 |
4.2.1 | 一般 | 7.3.7 | 設計・開発のバリデーション | 8.5.1 | 一般 |
4.2.2 | 品質マニュアル | 7.3.8 | 設計・開発の移管 | 8.5.2 | 是正処置 |
4.2.3 | 医療機器ファイル | 7.3.9 | 設計・開発の変更管理 | 8.5.3 | 8.5.3 予防処置 附属書A(参考) |
4.2.4 | 文書管理 | 7.3.10 | 0設計・開発ファイル | ||
4.2.5 | 記録の管理 | 7.4 | 購買 | ||
5 | 経営者の責任 | 7.4.1 | 購買プロセス | ||
5.1 | 経営者のコミットメント | 7.4.2 | 購買情報 | ||
5.2 | 顧客重視 | 7.4.3 | 購買製品の検証 | ||
5.3 | 品質方針 |
医薬品医療機器等法の施行はISO13485認証制度へどのような影響を与えるのでしょうか?
平成26年11月「薬事法」は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性および安全性の確保等に関する法律」 (医薬品医療機器等法)へと名称変更され、施行されました。 「医薬品医療機器等法」の施行にともない関係法令の改定が行われています。
〇 GQP省令がGMP省令に包括されたため、製造業者のみならず 製造販売業者も対象となりました。
〇 医療機器の定義に 「ソフトウェア(プログラム)」「体外診断用医薬品」等が加わったことで、対象となる事業が増えました。
今までは
ハード+ソフトで対象となりましたが、
これからは
ソフトのみでも対象となります。
〇 高度管理医療機器(Class3)の一部についても、第三者認証が適用されることとなりました。
クラス | 分類 | リスク | 医療機器 | 規制 |
Class1 | 一般医療機器 | 不具合が生じた場合でも、人体への影響が軽微であるもの。 | 対外診断用機器 | 届け出 |
鋼製小物 | ||||
歯科技工用用品 | ||||
X線フィルム | ||||
聴診器 | ||||
水銀柱式血圧計 等 | ||||
Class2 | 管理医療機器 | 生命の危険又は重大な機能障害に直結する可能性は低いもの。 | 画像診断機器 | 第三者認証 |
造影剤注入装置 | ||||
電子体温計 | ||||
電子式血圧計 | ||||
電子内視鏡 | ||||
歯科用合金 等 | ||||
Class3 | 高度管理医療機器 | 不具合が生じた場合、人体への影響が大きいもの。 | 透析機器 | 第三者認証/PMDA審査 |
人工骨頭 | ||||
放射線治療機器 | ||||
血管用ステント | ||||
胆管用ステント | ||||
体外式結石破砕装置 | ||||
汎用輸液ポンプ 等 | ||||
Class4 | 不具合が生じた場合、人の生命の危険に直結するおそれがあるもの | ペースメーカー | PMDA審査 | |
冠動脈ステント | ||||
吸収性縫合糸 | ||||
人工乳房、 | ||||
ビデオ軟性血管鏡 | ||||
中心静脈用カテーテル 等 |
ISO13485は組織にどのようなメリットをもたらすのでしょうか?
1 各国の法規制に対応できる。
2 業務の標準化による生産性の改善、向上が期待できる。
3 ミスの低減による組織の業績の向上が期待できる。
4 従業員のモチベーションアップにつながる。
5 企業イメージ・社会的信頼性が向上する。
6 認証組織間でのコミュニュケーションの向上が期待できる。
7 新規市場の開拓につながる。